【2021年8月】越後山脈山籠もり【米沢→長野】day4
越後山脈山籠もり、4日目です。「樹海ライン(国道352号)」。遅い年では6月下旬まで雪に閉ざされることもある、日本で一番最後に冬季閉鎖が解除される国道。そんな全サイクリスト憧れの幻の道路を、ついに走ることができました。世界屈指の豪雪山岳地帯をゆく道路は、人を寄せ付けないような異次元の景色の連続でした。
本日の行程
1.まずは御池まで
前日の燧ケ岳登山の疲れもあって、朝はゆっくり目の9時出発。
宿の方が記念写真を撮ってくださった。
2泊したこの宿も、アットホームでくつろげるいい所だった。
今回の旅、本当に宿泊場所には恵まれている!
本日8月29日は日曜なので、補給食買い出しに立ち寄る予定の檜枝岐村唯一のスーパー「JA檜枝岐村ストアー」が午前10時の開店。どう頑張っても10時までは檜枝岐村で足止めを食らってしまう。檜枝岐村での食料の調達、難易度高し!朝の出発をそこまで急がなかったのもこのため。
樹海ライン内は約80kmに及んで商店が一つもないので、まず何よりも先に補給食の買い出しをする必要がある。補給の重要性は昨日の登山で痛いほど学んだ。しかし、こういう山奥だと大体物価は高い。
それなりの出費は覚悟していたのだが......ここでうれしい誤算が起きてしまう!
檜枝岐村唯一のスーパー、JA檜枝岐村ストア
— ENDO (@mame_1410) 2021年8月29日
山奥だから高そうだなと思ってたけど
あんパン1個まさかの税込50円!!!
100円あたり652kcalという驚異的な補給効率を叩き出してしまった pic.twitter.com/gZacxzs5lX
半額セールのラッシュで、過去最高の補給コストパフォーマンスをここ檜枝岐村で記録したwww ありがとう、JA檜枝岐村ストアー!
御池までは昨日走った道と全く同じだけど、何回でも通りたくなるようないい道だ。緑が濃くて、大自然独り占め感が素晴らしい。
昨日は左に行った分岐を、今日は直進する。知っている道から知らない道に入るのは、自転車旅でワクワクする瞬間だ。
2.樹海ライン! 御池~銀山平
御池との分岐を過ぎると、まもなく樹海ライン最高地点(標高1530m)に到達。
待ちに待ったダウンヒルの時間!
最高に気持ちいい!!走っているときはもちろん、こうやって後から写真を見返しても癒される!
廃屋や柵など、人の営みの跡がちらほらと見られる。こんなところにいったい何のために作られたのか。考えれば考えるほど不思議だ。
酷道ツーリングでは珍しいことに、今回は昼ご飯をお店で食べることができる。
その名も「山ん中」。ド直球で大好きなネーミング!
いや、ほんとにここは「山ん中」なんだ。少なくとも半径10km以内に民家は一軒もないし、携帯も通じない。
ここの山菜は、よくある蕎麦とかに入ってる山菜の10000倍くらい味が濃くて、
生きている山の味がした。ケーキもすごい美味しかった。
おおっと、いよいよ樹海ライン名物「洗い越し」の登場だ!
洗い越しとは、橋を架けることが費用対効果に見合わないなどの理由から、川が道路の上を流れているものだ。日本の道路では非常に珍しい。ここ樹海ラインと、国道157号の温見峠などが有名どころ。樹海ラインの福島県側には洗い越しはなかったが、新潟県に入ると洗い越しが連発した。
樹海ライン洗い越しセレクション!
最初は恐る恐る進むけど、慣れてくると水路の上を走る感覚が病みつきになってくる笑
意外にも、滑ったりハンドルが取られたりはしなかった。
32mmのグラベルキングのおかげかも。
洗い越し以外にも、樹海ラインの魅力はまだまだ尽きない。
右側に目をやると、急斜面に白い線が一直線に走っている。
一瞬理解が追い付かない。あれは道路なのか??
深い谷を大きくトラバースして、今進んでいる向きとは逆向きに道路が続いている!?
近づいてみるとやっぱりあれは道路だった。奥只見湖周辺は地形が険しすぎて、道路の線形も鋭角のカーブが連続するとんでもないことになっている。面白い。
そしてこの崖、めちゃくちゃいい写真が撮れる。
どんなに険しい道でも、自分の力だけを頼りに進む「冒険の自転車」
自分のライドスタイルを表しているような一枚!
2021年の愛車ベストショットだ。
奥只見湖沿いは、100mくらいのアップダウンがあり、登りきるとダム湖を見下ろすことができた。高校時代に走った秋田の太平湖を思い出す。
それでもダム湖が見えるシーンは全体を通しても少なくて、湖の展望というよりスリリングな走りを楽しむべき道だと思う。
カーブを曲がったらいきなりこの景色。もはや何の山かわからないけど、目の前に壁が立ちはだかる様子は圧巻の一言。樹海ライン、すごい。
3.樹海ライン!! 銀山平~枝折峠
県境から35kmくらいすると、銀山平に着いた。
突然道が幅広く直線になって,ついさっきまでの酷道とは雰囲気ががらりと変わる。
銀山平2000m級の山に囲まれた盆地になっているエリアで、温泉施設やホテルもある。奥只見湖の遊覧船の発着点にもなっている、40kmぶりくらいに自動販売機を見つけた。ここは樹海ラインの中で唯一文明を感じられる場所だ。
この後は樹海ラインの難所の一つ、「枝折峠」が待ち構えている。
いかにも嵐の前の静けさのような穏やかな雰囲気だった。
標高差は約400m、日も傾いてきているしサクッと終わらせようと思っていた。
しかし、またもや絶景が足を引き留める!
ヒルクライム中、ずっと視界に入ってくる越後三山。2000mの標高もさることながら、横にどこまでも広がってる。山脈!!!という主張が強すぎる。これは絶景!
18時前、枝折峠(1065m)を登り切った。峠自体は勾配もゆるく難所というほどではなかったが、これまでに洗い越し・断崖絶壁・数え切れないほどの急カーブを走り抜けて
きたからか、疲労感と充足感が半端じゃなかった。
4.樹海ライン完走!!!
あとはひたすら下れば魚沼市の市街地に出られる。そうすれば本日の宿がある浦佐駅までは一瞬だ。
何もない山の中から、だんだんと田んぼや建物が現れてきて、安心感が押し寄せてくる。人里に戻ってきたぞ~~!!
振り返ると、緑の回廊を抜けて洗い越しと断崖絶壁が現れて、アップダウンと急カーブの道路は走りごたえしかなくて、最後には越後駒ケ岳の絶景を眺めながらフィニッシュ。これほどお腹いっぱいになれる道は他にない。
樹海ラインには、自転車旅に求める「冒険」のすべてがあった。走らせてくれてありがとう。
今夜は浦佐駅前のビジネスホテルに泊まった。3800円と格安なのに、風呂とトイレがセパレートで快適だった。
浦佐駅前のレストランにて、夜ご飯。椎茸のお寿司なんて初めて見たから、つい頼んでしまった。美味しかった。
翌日は三国峠を越えて高崎まで淡々と移動し、明後日はいよいよ秋田時代からの自転車仲間(現在東京在住)と合流して渋峠に挑む!最後まで山籠もりを貫いていく!
樹海ラインを無事走り切ることができて、この「越後山脈山籠もり」も前半戦終了だ!